子宮頸がんとは?
子宮頸がんは、子宮の入口である子宮頸部の粘膜上皮(表面の細胞)にがん(悪性腫瘍)ができる、女性に特有の病気です。女性に起こるがんとしては世界的に、乳がんに次いで発症率、死亡率ともに第2位です。
現在、日本では年間約12,000人が子宮頸がんを発症し、約3,500人が死亡しています*。死亡に至らない場合でも、子宮全体の摘出により妊娠や出産ができなくなることもあります。
子宮頸がんは、発がん性のヒトパピローマウイルス(以下HPV)というウイルスの持続的な感染がおもな原因となって起こります。HPVは性交渉によりヒトからヒトに感染します。特別な人だけが感染するのではなく、性交渉の経験のある人なら誰でもHPVに感染する可能性があります。
(*平成17年度人口動態統計からの推計)
子宮がん検診でがん予防
子宮頸がんは、初期には症状がほとんどなく、自覚症状があらわれる頃には病状が進行していることが少なくありません。しかし、子宮がん検診を受けることで、前がん病変(がんになる前の正常でない細胞)あるいはごく初期のがんの段階で発見することが可能です。前がん病変あるいはごく初期のがんの段階で発見できれば、子宮を温存したまま治療することも可能です。しかし、発見が遅れると、大切な子宮を失うばかりか、命を落とすことにもなりかねません。
検診を受けることは子宮頸がん予防と早期発見への第一歩です。
面倒だから恥ずかしいから・・とためらわず、積極的に受診しましょう。
子宮がん検診の検査内容
一般に、子宮がん検診では、問診、視診(内診)、細胞診がセットで行われます。
Step1問診
初潮の年齢や生理の様子について、妊娠・出産経験や自覚症状の有無などを細かく問診表に記載していただきます。さらに診察室で医師からの質問にお答えいただきます。
Step2視診(内診)
内診台に上がっていただき、医師による診察を受けて頂きます。子宮頸部の状態を目で見て確認(視診)します。子宮全体や卵巣・卵管を触診で調べていきます。必要に応じてコルポ診を行います。
Step3細胞診
やわらかいブラシやヘラのような器機を膣内へ挿入して子宮頸部の細胞を軽くなでるようにして細胞を採取します。この際、少し出血することがある場合がありますが痛みを感じる事はほとんどありません。
Step4検査終了
子宮がん検診はこれで終了です。約2週間後には細胞診の結果も含んだ検査結果が届きます。
子宮がん検診はどこで受けられる?
各自治体では、20歳以上の女性に対し子宮がん検診を実施しています。
自治体の発行する広報誌やホームページ、市町村の役所・役場の窓口などで確認してください。このほか、診療所や病院の産婦人科、人間ドックなどでも子宮がん検診を受けることができます。
検査費用について
自治体による検診は無料あるいは一部負担など、費用は各自治体で異なります。自治体の検診以外で、産婦人科などで検診を受ける場合は全額負担となります。費用は5,000~8,000円程度ですが、何らかの症状がある方では保険診療で検査が行なわれることもあります。
よくあるご質問
子宮がん検診の結果は「異常なし」でした。
今後は検診を受けなくてもよいのですか?
検診の結果が「異常なし」であったとしても、原因となるHPVにすでに感染していたり、検診後に新たに感染した場合、今後、子宮頸部の細胞に異常が生じ、将来的に子宮頸がんが引き起こされる可能性はゼロではありません。
検診で異常が発見されなかった場合でも、少なくとも1~2年に1度は検診を受けることが大切です。
まだ若いから、検診を受けなくても大丈夫?
子宮頸がんは比較的若い女性に多く見られ、特に20~30代の女性に急増しています。子宮頸がんは、若い女性の妊娠や出産の可能性を脅かし、尊い命を奪うがんなのです。若いときからきちんと検診を受けましょう。
発がん性HPVは性交渉で感染すると聞きました。私は男性経験が多くないから、検診を受けなくても大丈夫?
複数のパートナーとの性交渉は、子宮頸がんのリスクを高めるといわれていますが、直接の原因ではありません。パートナーが1人の場合でも子宮頸がんになる可能性はありますので、必ず検診を受けましょう。
ワクチンを接種すれば子宮がん検診を受けなくても大丈夫?
子宮頸がん予防ワクチンは、特に子宮頸がんになりやすいHPV16型と18型の感染を予防しますが、すべての発がん性HPVの感染を防ぐものではありません。子宮頸がんを完全に予防するためには、ワクチン接種後も定期的に子宮頸がん検診を受けることが大切です。
性交渉の経験があるので、すでに発がん性HPVに感染しているかもしれません。ワクチンを接種しても効果は期待できませんか?
現在発がん性HPVに感染しているとしても、今後自然に排除される可能性が高いです。しかし、このウイルスは何度も感染することがあるため、ワクチンを接種して次の感染を防ぐことが大切です。ただし、ワクチンは接種前に感染している発がん性HPVを排除したり、発症している子宮頸がんや前がん病変の進行を遅らせたり、治療することはできません。
子宮がん検診の結果が「要精密検査」でした。
子宮頸がんなのでしょうか?
一般に、子宮がん検診の結果、精密検査が必要となるのは受診者の1%程度です。また、精密検査を受けた人のうち、実際に子宮頸がんが発見されるのは一部であり、「要精密検査」イコール「子宮頸がん」ではありません。
子宮がん検診の「細胞診」で異常な細胞が見つかった場合、細胞の様子をさらに詳しく調べるために精密検査が必要となります。精密検査では、「コルポ診」と「組織診」が行われます。