胃ポリープとは?
ポリープとは、体の表面が「いぼ」のように盛り上がった形状のものをいいます。これが胃にできると「胃ポリープ」と呼ばれます。症状はほどんどなく、健診などで初めて見つかることが多いようです。ポリープの形には、粘膜下腫瘍型、無茎型、亜有茎型、有茎型の4つの型があります。
過形成性ポリープの組織は癌ではありませんが、腺腫性ポリープの場合、盛り上がっている部分の細胞は、正常な細胞とは少し違った形をしています。癌細胞ではないのですが、将来癌になりやすい性質を持つ細胞だと言われています。
また、胃炎を起こしている人は胃ポリープになりやすいと言われています。
胃ポリープと胃がん
癌とは、私たちの体の中で毎日行なわれている新陳代謝-古い細胞が死に、新しい細胞が生まれる-の過程で発生する異常な細胞のことです。本来新陳代謝で新しく生まれる細胞は、私たちがそれぞれ持っている遺伝子(体の設計図)にしたがって作られるため、細胞が入れ替わっても問題なく体の機能を維持していくことができるのです。しかし、何らかの原因で設計図どおりに作られず、悪い性質を持った細胞が生まれると、その細胞は「癌細胞」として私たちの体を蝕んでいきます。では、どうやって正常な細胞と癌細胞を見分けるのでしょうか?
ポリープの組織を内視鏡を使って切り取り(生検)、それを専門家が顕微鏡で調べれば癌細胞かどうかはすぐにわかります。過形成性ポリープの場合、この細胞検査によってがんではないことがより明らかになります。
胃ポリープの治療について
大きさが1cm以下の小さなものなら、過形成性ポリープ、また腺腫でも、治療しないでそのまま放置してもまず大丈夫です。もちろん、特に腺腫の場合はできれば定期的に検査を受けて経過をみることをお勧めします。
ただ、癌でないといっても、2cm以上の大きい過形成性ポリープや一部の腺腫では、内視鏡を用いた治療「ポリぺクトミー」または「EMR(内視鏡的粘膜切除術)」によって切除することが多いのです。また、急に大きくなったりするポリープも治療の対象になります。
万一、ポリープの生検で癌細胞が発見された場合は、患者さんの同意を得た上で、改めてポリープ周辺の組織検査(生検)を行うとともに、ポリープ自身を切除します。
内視鏡で切除
検査の結果、ポリープを取った方が良いという診断がついたら、多くの場合は内視鏡を使ってポリープを切除します。ただし、大きなポリープや既に癌になっていることがわかった場合には、お腹を切って癌を取る場合もあります。
内視鏡を胃の中に挿入するのは、内視鏡検査の時と同じです。
ポリペクトミーとEMR
内視鏡を胃の中に入れたら、いよいよ内視鏡によるポリープの切除(ポリぺクトミーまたはEMR)です。図のような手順で、手際よくポリープを取り除いていきます。
内視鏡を使った治療は、お腹を切ることなく、胃のポリープを切除します。苦痛もありません。しかし、手術であることに変わりはありませんので、出血などの偶発症もあります。切除後は、医師の指示に従い、できるだけ安静を保ってください。
予防法
胃はデリケートな臓器です。ストレスをためないようにし、規則正しい生活習慣を心がけましょう。食事の際には、胃に強い刺激を与える食べ物、特に香辛料をたくさん使った料理や、強いお酒などは控えたほうが良いでしょう。食物はよく噛み、胃に負担をかけない食生活がポイントです。
また、特に治療をする必要がないと診断された方も、できれば定期的な健診を受けることをお勧めします。