大腸内視鏡検査(大腸カメラ検査)とは
大腸内視鏡検査は、大腸の粘膜を直接観察できる検査方法です。肛門から内視鏡スコープを挿入し盲腸まで進ませて、そこから手前の直腸まで内視鏡を後退させながら粘膜層を確認していきます。前がん病変でもある大腸ポリープの切除も検査時に行うことが可能です。大腸ポリープの切除は大腸がんの予防になります。病変があった場合も、検査と同時に組織を採取することが可能です。大腸疾患の確定診断に大腸内視鏡検査は必要不可欠です。
病変の観察ができる唯一の検査です
できものである腫瘍は便の通過に支障が出るほど大きくならないと症状が現れません。また、小腸寄りの部分では便がまだ水っぽいため、より症状が現れにくい部分です。そのため、便潜血検査などでは進行した大腸がんが見逃されてしまう可能性がありますし、早期発見はかなり難しいのです。
そして、腫瘍の多くは隆起性病変という出っ張った病変ですが、陥凹性病変という引っ込んだ状態の病変になる場合もあります。粘膜を直接観察できる大腸カメラであれば、小さな病変や陥凹性病変も見つけることができます。
大腸内視鏡検査を受けましょう
以下のチェック項目に当てはまる方は、一度大腸内視鏡で検査を受けることをお勧めします。
大腸内視鏡と大腸がん
大腸がんの発症は、近年増加傾向にあり加齢やお酒、たばこ、食生活、運動などの生活習慣が関連しているといわれています。早期の大腸がんは、普段の生活の中で治療していくことが可能です。また、大腸がんはポリープから発症することが多いためポリープのうちに切除することは大腸がん予防につながります。予防や治療による完治が可能な大腸がんですが、自覚症状がなく、健康診断などの便潜血検査でも陰性になることが多く、進行するまで見つからないケースが多いため、発見時には重篤な状態である場合があります。定期的な大腸内視鏡検査で、ポリープや早期の大腸がんを発見することが大切です。当院では、患者様への負担を軽減した大腸内視鏡検査を行い、地域の皆様の健康を守ります。
大腸内視鏡検査でわかる疾患
大腸がん以外にも、大腸内視鏡検査では様々な大腸疾患の診断が可能です。大腸に何かしらの病変があると下痢や便秘、あるいは血便といった症状が現れることがあります。血便、貧血、便通異常、腹痛、腹部の不快感などの症状がある方は、なるべく早めに検査を受けましょう。
過敏性腸症候群(IBS) | ストレスなどが原因で腸の動きが乱れてしまい、腹痛、下痢や便秘などを繰り返し起こします。腸そのものには異常はありません。 |
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炎症性腸疾患 | 潰瘍性大腸炎(UC)とクローン病が代表的なものです。原因不明の炎症が慢性的におこり、30歳以下の比較的若い人に多い病気です。 |
大腸憩室 | 大腸の壁の一部がふくろ状に外側に飛び出した状態です。これ自体は病気ではありませんが便のとおりが悪くなったりします。 |
大腸ポリープ | 大腸粘膜の一部が大腸の内側に飛び出した病気です。ほとんどが良性で内視鏡検査のときその場で取り除くことができます。 |
肛門疾患 | 痔核、裂肛、痔ろうなどです。このために、便潜血検査で陽性になってしまうことがあります。 |
当院の大腸内視鏡の特徴
特徴1、最新の内視鏡検査
当院では、大学病院や基幹病院に導入されている標準的な機器より上位のシステムであるオリンパス社製の最新内視鏡『EVIS X1』を導入し、高精度の内視鏡検査を実施しています。
大腸内視鏡
最新のデジタルハイビジョンに対応した内視鏡システムで病変のわずかな異変も見逃しません。観察機能と挿入性の優れたスコープです。
高画質の観察画像で小さな病変も見逃しません
がん細胞は小さな血管が集まりやすいという特徴があります。NBIでは青と緑の特殊な光を照らし、粘膜上の小さな血管も見えやすく映し出すことが可能です。従来の光では班別の難しかった粘膜上の細かい病変も見逃しなく観察していきます。
ワイドアングルで見落としなく観察可能
観察可能な視野の角度が大幅に広がったことで、大腸の粘膜のひだに隠れた病変も見落としなく観察することが可能になりました。従来の内視鏡スコープでは前方が140度の角度に対して、最新の内視鏡では角度が170度と30度広がりました。
最新の内視鏡スコープ
従来の内視鏡スコープではループが途中でたわみがでてしまいスコープの先端まで手元の操作が伝わりづらかったのに対し、最新のスコープでは手元の操作や力、ひねりを加えても先端部まで伝わりやすくなりました。大腸の屈曲部も大腸の壁に当たると自然に先端が曲がる設計によりスムーズに通過できるような設計になりました。盲腸まで速やかに到達できて、患者様への負担が大幅に軽減できました。
高精細なハイビジョン画像
最新の内視鏡スコープの先端についているカメラは、ハイビジョン対応CCDで高精細な映像を映し出すことが可能です。
特徴2、苦しくない挿入法
苦痛を軽減した軸保持短縮法と回盲部までの早い到達時間
当院医師は日本消化器内視鏡学会認定 内視鏡専門医の資格を持ち、痛みや苦痛を軽減した軸保持短縮法を完全にマスターしております。
軸保持短縮法は大腸の中に空気を極力いれずに腸管を伸ばさないようにして大腸の軸を保持したまま大腸を折りたたむように進めていく挿入方法です。
当院では、直腸からカメラを入れてから大腸の一番最後の回盲部までは1~3分以内と非常に短い時間で到達しますので患者さんの検査時の痛み、ストレスは大幅に軽減されます。大腸カメラは怖い、痛いというイメージの方は是非一度ご相談ください。
特徴3、痛みにご不安な方への配慮
当院の大腸内視鏡検査は、鎮静剤(麻酔)を使用しなくても痛みがなく検査が受けられます。ですが、検査へのご不安が強い患者様へはご希望に応じて鎮静剤を使用して寝ている間に検査を行うことが可能です。大腸内視鏡検査に対して不安や痛そうなどのイメージをお持ちの方も安心して検査を受けて頂けます。
特徴4、お腹の張りを抑えた内視鏡検査
大腸内視鏡検査の際に、大腸をすみずみまで観察するために空気を挿入して膨らませる処置がありますが、この方法だと検査後もお腹の張りで苦しい思いをする患者様が多くいらっしゃいます。当院では患者様のご負担をなるべく軽減するために炭酸ガス装置を用いた検査方法を行っています。炭酸ガスは空気に比べて200倍体内へ吸収されやすいため、お腹の張りが続くということを解消してくれます。
特徴5、内視鏡洗浄機で徹底消毒
当院では、内視鏡検査に用いる機器は患者様ごとに日本消化器内視鏡学会のガイドラインに沿った方法で、専用の内視鏡洗浄器で1回1回完全に消毒を行っております。常に清潔な状態で気持ちよく検査を受けて頂くために、医療機器の洗浄・消毒の徹底を欠かしません。
大腸カメラを受けるタイミング
大腸がんの発症は60歳代がピークです。ですがリスクが上昇し始める40歳を超えたら一度内視鏡検査を受けることをお勧めします。大腸がんのリスクが高い方は、若い方でもなるべく早めに検査を受けましょう。大腸がんの検査には便潜血検査、注腸検査、大腸内視鏡検査がありますが、確定診断には粘膜を直接観察できる大腸内視鏡検査が不可欠です。
大腸がんの発症リスクの高い人
内視鏡検査の前処置
ご自宅にて検査の前処置を行っていただきます。大腸の中に便が残ったままだと内視鏡検査がおこなえません。大腸の中を空っぽにしていただく必要があります。
当院ではニフレック配合内用剤と呼ばれる腸管洗浄剤を用いて前処置をおこなっております。
ニフレック配合内用剤について
特徴 | 他の腸管洗浄剤に比べて飲みやすい |
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服用量 | 2.0ℓ |
味 | スポーツドリンクのような味 |
前日のお食事 | 消化の良い食事 |
準備 | 2,3時間ほど |
副作用 | 嘔気、嘔吐、腹痛、熱感、など |
服用ができない方 | 腸閉塞の疑いがある方、内服の下剤にアレルギーがある方 |
ニフレック配合内用剤の飲み方
容器を開封し、1.0ℓの水を入れます。キャップをしめて上下によく振り粉末を溶かします。全量が2.0ℓになるまで水を入れてください。
2.0ℓを2時間~2時間半かけてゆっくり飲んでください。服用中、もしくは服用後に以下枠内の症状が出た方は服用を止め、朝9時に一度ご連絡をお願いします。服用後しばらくたっても排便が起こらない場合も同様にご連絡をお願いします。
- 気分が悪い
- 吐き気
- 腹痛
- めまい
- 顔が青ざめる
- 寒気
- じんましん
- 息苦しい
- 意識がぼんやりする
- 手足に力が入らない
- 皮膚が赤くなる
- 脈が遅くなる
- 血の混ざった便が出る
検査時の注意について
検査前の注意
- 現在、服用中のお薬があればお申し付けください。
- 抗凝固薬・抗血栓薬を服用されている方は事前に医師にお伝えください。
- 検査前日の食事・下剤の服用については必ず指示通りにしてください。海藻類、きのこ類、繊維の多い野菜や種のある果物、ゴマ、ピーナッツ、こんにゃくはなるべく検査3日前から控えるようにしてください。
- 普段から便秘気味の方には、検査の3~4日前から下剤を服用していただくこともありますので、お申し出ください。
- 下痢になりますが、大腸の中を空っぽにするための下剤なので心配はありません。検査が始まるまでにできるだけしっかりと排便してから検査を受けてください。
- 以前に緑内障、心臓病、前立腺肥大といわれたことのある方は、検査前にあらかじめ申し出てください。
- ご高齢の方、検査当日にふらつきやめまいがある方は、できるだけ付添いの方と来院してください。
検査後の注意
- 検査が終了した後にお腹の張りや、腹痛がある方は、右を下にして横になったり、腹ばいになったりして空気を出すようにしましょう。
- 検査前に腸の運動を止める注射を打ちますが、人により眼がチラチラしたり、喉が渇いたりすることがありますが、時間の経過とともに症状は治ります。
- ご希望の方には軽い鎮静剤(麻酔)注射することも可能です。
- 検査直後は車の運転はできませんので、車での来院は避けてください。
- 帰宅後、何かございましたら当院へご連絡ください。
検査の流れ
1検査前日
夕食は午後20時までに済ませてください。
検査前日は、なるべく消化のいい食事を心がけましょう。
21時にプルゼニド2錠とラキソベロン内用液10ml(コップ1杯200mlの水で溶いたもの)を飲んでください。
2検査当日の朝
朝食は抜いてください。
喉が乾いたり空腹感があれば、水分は摂っていただいても構いません。
午前6時、前処置のニフレック配合内用剤パウチ入りに水を入れて溶かして飲んでください。
(1袋に水を入れて溶かし、2,000mLにして2時間かけて飲んでください。)
※糖尿病の薬は血糖が下がりすぎてしまうため、使用しないでください。
※血圧の薬はいつも通りの時間に服用してください。
排便がおさまったらご来院ください。
3検査
大腸内視鏡検査用のおしりに切れ目が入ったパンツをはいて左側を下にしてベッドに横になります。腸の動きを弱める注射をしてから検査を始めます。
肛門から少しずつ内視鏡スコープを挿入し、盲腸まで到達させます。もし痛みや苦痛がある場合は、その場で医師にお伝えください。
4検査終了
検査終了後、鎮静剤を使用した場合はしばらく横になって休んでいただきます。検査中に大腸の中に入った空気やガスを出すと苦痛が軽減され楽になります。帰宅後に痛みや発熱がひどい場合には病院へご連絡ください。
検査費用
1割負担 | 2割負担 | 3割負担 | |
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大腸カメラ(大腸内視鏡検査) | 約2,500円 | 約5,000円 | 約7,500円 |
大腸カメラ+病理組織検査 | 約3,000円 | 約6,000円 | 約10,000円 |
大腸カメラ+ポリープ日帰り手術 | 約8,000円~10,000円 | 約18,000円~20,000円 | 約20,000円~30,000円 |
※すべて税抜きです。
※内視鏡検査の予約日にキャンセルされる場合は、Webで予約の取り消しか当院まで連絡をして下さい。
無断キャンセルをされた場合は次回からネットのご予約はできなくなります。検査を待たれている方がいらっしゃいますので、ご協力お願いいたします。
※内視鏡検査は日本語が話せない方は安全の為、当院では対応できません。